解決志向アプローチってなんだ?

ぼくらは問題志向にかたよっている

みなさん問題解決スキルには馴染みがあると思います。社会人なら必須のスキルです。問題解決はまず問題とその原因を特定します。できてないところ、足りないところにフォーカスします。

ぼくらは問題について考えるクセがついています。ほっといても問題をさがしてしまいます。だから必要ない時まで作動しちゃうんです。問題さがしが行き過ぎると、他人に対して問題の矛先が向いていれば関係性が悪くなるし、自分に対して問題の矛先が向いていれば気持ちが疲弊します。

言いたいことは、ぼくらは問題をさがす思考にかたよっているということです。つまり問題志向性が強いんです。

解決志向とは?

もう1つの思考の方向性は解決志向です。ありたい方向やうまくいっている事にフォーカスします。解決志向を取り入れることで、今まで見過ごされてきた可能性(チカラ)が見えてきます。可能性(チカラ)は見ようとすれば見えてきます

足りないもの(問題)を見るだけでなく、あるもの(解決)も見るようにしましょう。からだの栄養と同じくバランスが大事ですね。

すでに「あるもの」を真摯に丁寧に観ていくことで、新たな可能性と解決への道筋が見えてきます

ここでの解決志向は、カウンセリング手法の一つ解決志向アプローチがベースとなっています。ここではエッセンスを記載しておきます。これだけでもカンの良い人は解決志向を使いこなしていけますよ。

解決志向アプローチ 3つの中心哲学

解決志向アプローチには3つの中心哲学があります。哲学といっても簡単でシンプルなものです。ぼくなりの解釈も入れて企業組織の文脈で解説しています。ご自身の経験とフィットするか確認してみてください。

哲学1.うまくいっているなら直そうとしない(Don’t Change)

「いらんことするな!」ということです。せっかくうまくいっているのに、問題をつくって騒ぎ立てる人いませんか?問題さがしの病にかかっている人です。

問題の原因追求が人に向いた時、最悪です。組織であれば風土はめちゃくちゃ悪化します。こうした風土がもたらす悪影響は計り知れないものです。

過剰な問題さがしは解決どころか人や状況を悪化させることもあるので注意しましょう。

もちろん大きなリスクにつながる問題の場合は、しっかりと根本原因を見つけて対処すべきです。

哲学2.うまくいっていることは繰り返そう(Do More)

うまくいっていることが確認できていれば、それを続けようということです。どうやって今の組織が正常に動いているのか、明確に言えますか??ちょっとだけ考えてみてください。

あなたの組織が毎日うまく回っているのは誰がいるからですか?メンバーがどんなことをしてくれるからですか?メンバーに対してあなたがどんな働きかけをしているからですか?

これらはすべて成果へ向かうチカラです。いくつものうまくいっていることがつながってぼくらの組織は成果を生み出せているんですね。

既にあるチカラに気づき、もっとうまくいくように活用していきましょう。

哲学3.うまくいってなければ違うことをしよう(Do Different)

ちょっと考えてみてください。

デザイン制作の部署に中途社員が入ってくると、3ヶ月以内でやめてしまう。その後新しい中途社員が入ってきてもまた3ヶ月でやめちゃう。こうなると、今のデザイン制作の部署は何かを変えなければいけません。みなさんならどうしますか?

「問題の原因をつかんで解決すべきだ」と考えた方も多いと思います。その対応が解決につながれば良いと思います。しかし、副作用が出てしまうんです。今いるメンバーの雰囲気が悪くなります

実際にあった事例を見てみましょう。

ある会社で組織風土改善をするために外部モチベーションサーベイを導入しました。そのサーベイの結果を社内で共有したんですね。

すると、ある部門長は他部署とくらべて自分の部署が悪い結果だと気づいたんです。そして、その部門長はメンバーを集めて「この中に悪い評価をつけた奴がいる!」と怒っちゃったんです。そこから犯人さがしが始まりました。

モチベーション改善のためのサーベイ(問題さがし)が組織風土悪化につながってしまった不幸な事例です。

うまくいってなかったら何かを変えて経過を見て、うまくいっていることを探せばいいんです。そのうまくいっていることを増やしていくんですね。

3つの哲学を自分の仕事に当てはめてみよう

どうでしょうか。3つの哲学について共感できたでしょうか。共感できるような、できないような・・ですかね。ちょっと企業組織の文脈に寄せてみてみましょう。

3つの哲学をぼくなりに分かりやすく言うと、下記のような感じです。

哲学1.過剰な問題探しはほどほどに!

哲学2.既にあるチカラ(リソース)を探して活かそう!

哲学3.まだ問題があるなら何かを変えて良かったことを探してみよう!

みなさんは1〜3のどれに関心がありますか?関心がある哲学について少し自分の働き方と照らしてみてください。たとえばこんな感じで。

・普段は1の問題探しの割合が多いなあ。ミーティングで部下の話を聞いていても問題ばかり探している気がする…

・既にあるリソースかあ。あるとは思うけどすぐに出てこないなあ。ちょっと考えてみるか…

・慢性的な問題があるけど原因がわからないから手が打ててないなあ。でも何か変えてみて変化を観察してみればいいんだな。出来そうなことをやってみよう!

こんなふうに3つの哲学とみなさんの状況をつなげて考えてみると、気づくことがあると思います。

過剰な問題探しはほどほどに!

人によって常識が違うように、問題の基準が違います。ぼくは図書館でこの記事を書いているのですが、PCの打音が気になって注意する人がいます。彼は打音を問題としてます。でも他の人は気にしてないんですね。

みなさんの職場にもこの打音のようなケースはありませんか?ちょっと思い出してみてください。もしかしたら問題と思っていたことが、実は問題ではなかったと気づくことがあるかもしれません。

問題というのは、その事柄を「問題である」と決めた時に問題とされてしまいます。問題は人が決めることなんですね。

多くの問題を気にしていると頭のリソースが大事なことに振り向けられなくなります。悩み事が多いとIQが下がるという研究結果もあるようです。

ほら、そんなに問題を抱えこまないで少し降ろしましょ。過剰な問題さがしはほどほどに。