
質問技法におぼれないようにしよう!
問題解決の機会が多く、問題解決の思考を習慣とするビジネスの文脈では、解決志向型のコミュニケーションは異質でありながら魅力的に感じます。
その要素のひとつに特徴的な質問手法があるんですね。ご存知の方もいるかもしれません。ぼくも最初は解決志向の考え方と変わった質問技法に魅力を感じて勉強しはじめました。
解決志向を仕事で使い始めた頃は、コンプリメント(褒める、労う、励ます、称賛する)を連発したり、タイミングかまわずスケーリングを挟んでみたり。手に入れたツールをぶんぶん振り回す始末。
すごく特徴的な質問技法にミラクル・クエスチョンがありますが、あまりにも聞きなれない質問内容なので、業務中にこの質問をすると相手は「???」となってしまうこともありました。
セラピーやカウンセリングの面接では重要な技法ですし、違和感なく正しく効果的に使いこなすには、相応の勉強とトレーニングが必要です。
ただ企業で働く管理職やリーダーが質問技法を磨くために時間と労力をつかうのはとても難しいとおもいます。
質問技法の目的を理解して、状況に応じた自分なりのやり方をつくる
企業のような「組織」の文脈で解決志向のチカラを最大限発揮するためには、技法の目的を理解して、自分の居場所でその目的を果たせる自分なりのやり方を、仕事・組織・関わる人に合わせてつくっていくことをおすすめします。実はこれがとても楽しいんです♪
言いたいことは、ぼくのように質問技法だとか、手法に溺れないようにしよう!ということです。質問技法の目的を理解して、状況に応じた自分なりのやり方をつくるんです。
働いている人はみんな忙しいです。やらなきゃいけないこと、考えなきゃいけないこと、学ばなきゃいけないことがたくさんありますよね。
でも大丈夫。できるだけ負担なく解決志向を学び、すぐに仕事にとりいれていけるように、このブログで応援していきたいと思います。
手法を学ぶ前に、どんなマネジメントを目指しますか?
いま一度確認しましょう。企業活動は計画と戦略をつくり、Plan(計画)-Do(実行)-Check(検証)-Action(次の行動)のサイクルで動いています。
この機会に少し現在地を確かめてみましょう。このサイクルの中であなたがメンバーとどのような関わりをしているか?軽くでいいですよ。
特に大事なのはPlan(計画)とCheck(検証)です。メンバーとどんなやりとりをしているでしょうか。その時のメンバーの様子まで思い出してみてください。カンペキにやろうとしないでください。何か思い出せたら、それで良しです😊
そのうえで、解決志向のPDCAをまわそう!・前向きな行動を促す解決志向のふりかえりの記事をもう一度見てください。面倒でもぜひやってほしいんです。
あなたにとって解決志向が魅力的に映りましたか?
やってみたいなあと思いましたか?
こうした組織のあり方と道筋(アプローチ)をあなたは目指したいと思ったでしょうか?
解決志向の働き方をしたい!というキモチがあれば、解決志向を学んで仕事で使っていけば、きっとありたい組織へ近づいていきます。同時に成果も高まっていくと思います。
これはぼくの個人的な感想ですが、人生も豊かになると感じています。だって人との関係がとても良くなりますから。
では、すこし手法について話を進めていきましょう。
解決志向のふりかえりは、3つのトークとコンプリメント(労い・賞賛)で十分
ここからは、手法の話です。解決志向アプローチには質問手法があります。ぼくが組織の中でいろいろ試してきた結果、その中でも3つのトークとコンプリメント(褒める、労う、励ます、称賛する)だけでも十分に解決志向の働き方が可能だと実感してますので、これらの手法に限定して書いていきます。
質問手法に関しては使いやすいように元の質問形式をアレンジしていますので、ご留意ください。気になる方は解決志向に関する書籍などにあたって元の質問形式を確認してみてください。
3つのトークとコンプリメントの位置付け
いま一度このブログ全体の骨子を確認しましょう。
組織メンバー全員で解決志向の働き方を実現するには、解決志向のリズムをつくっていくことが大事です。
解決志向のリズムができていると、できることにフォーカスして、躊躇せず行動できるようになります。
解決志向のリズムをつくるためには、現住所である従来の「問題志向のPDCA」から「解決志向のPDCA」へお引っ越ししましょう。
解決志向のPDCAの中でも大事なのは、魅力的な計画・目標づくりと解決志向のふりかえりです。
そして、解決志向のふりかえりを具体的にやっていくために参考になるのが、3つのトークとコンプリメント(褒める、労う、励ます、称賛する)です。
これらの手法は目的をわかっていれば十分です。メンバーの特徴に合わせて、あなたの個性を活かしながら、あなたなりのやり方をつくってみてください。
3つのトークとコンプリメントの目的を理解しよう

では、それぞれの3つのトークとコンプリメントの目的を確認していきましょう。
①プロブレム コーピング トークの目的は、問題になんとか対処した中身から役立ったリソースをみつけること。同時に、問題への対処してくれたことへの感謝とともにコンプリメント(労い・励まし)も伝える。
②サクセス トークの目的は、うまくやれたことの中身から役立ったリソースを見つけること。同時に、うまくやってくれたことへの感謝とともにコンプリメント(褒める・賞賛)も伝える。
③ソリューション トークの目的は、着実に成果へ向かう次の行動ができるように、役立ったリソースを使った解決づくりや新しくも出来そうな小さな解決づくりをする。
※コンプリメントの目的は、あらゆる場面でメンバーを労い、励まし、賞賛することによって意欲を高めてエンパワメント(チカラづけ)すること。特にプロブレム コーピング トークやサクセス トークの中にコンプリメントの機会がたくさんある。
では①から順に説明していきましょう。
プロブレム コーピング トーク(Problem Coping Talk)
プロブレム コーピング トークの目的は、問題になんとか対処した中身から役立ったリソースをみつけること。同時に、問題への対処してくれたことへの感謝とともにコンプリメント(労い・励まし)も伝えることです。
仕事をしていればしょっちゅう問題が発生します。すんなり成果を出せることは稀でしょう。
問題が起きれば、その場で様々な対処(コーピング)をします。こうした問題への対処は大変ですよね。問題がおきちゃった時点で慌てるし落ち込むし。でも何か手を打たなきゃいけない。あーでもない、こーでもない考えて、いろいろやって何とか収束させる。
こんなふうに、問題に直面してメンタル面での落ち込みもある中で、自分なりに考えて一生懸命問題に対処しているわけです。その対処には勇気や努力や工夫が隠れています。
このような勇気や努力や工夫を話してもらって、ちゃんと聞いてあげることによって、メンバーはがんばりを知ってもらえる機会になります。上司やリーダーにしてみれば、褒めたり、労らったり、励ましたり、賞賛できる機会になります。
さらに、メンバーはどうやってその場を凌いだか、どうやって問題を克服したかについてのリソースに気づくことにもなります。修羅場の中で頭をフル回転させて捻り出した対応策にはリソースがあります。メンバーはリソースに気づくことで、自身の自己効力感(なんとかやれる感覚)を高めることにつながります。
解決志向のリーダーは、メンバーの意欲の火を灯し続けることが大事なんですね。ぼくはコレがすっごく重要だと思っています。問題が起きてもヘコたれないように絶えず薪をくべるんです。意欲の火を絶やさないんです。
問題は迷惑でやっかいだけど、メンバーのチカラが顕在化する、顕在化できる機会でもあるんですね。
サクセス トーク(Success Talk)
サクセス トークの目的は、うまくやれたことの中身から役立ったリソースを見つけること。同時に、うまくやってくれたことへの感謝とともにコンプリメント(褒める・賞賛)も伝える。
自分なりにうまくやれたことについて話す、ということです。「自分なりに」が大事になります。
「自分なりに」とは、他人や会社の基準ではなくて、自分の基準でできたことです。ここに主体的で内発的な動機がかくれています。
「自分なりに」の中に、「わたしは工夫したんだよ、勇気を出して取り組んだよ、チャレンジしたんだよ、わたしが大切だとおもったことができたんだよ」などの意味があります。
だから、「自分なりにできたことは、どんなことがありましたか?」と聞いてあげて、話してもらうだけでも、自分で自分を賞賛できるし充実感もわいてきます。
聞くときのポイントは3つです。
1.自分なりにできた話をちゃんと受け止めてコンプリメントすること
2.どうやってできたか聞いてあげること(リソースを見つけることにつながる)
3.他にどんなことができたか聞いてあげること
サクセストークでメンバーの意欲を高めていきましょう。
ソリューション トーク(Solution Talk)
ソリューション トークの目的は、着実に成果へ向かう次の行動ができるように、小さな解決づくりをすることです。「次はなにしようか?」を一緒に考えます。
この「小さな解決」というのは、成果の方向へ向かう、すぐに行動に移せそうなことです。
ぶっちゃけて言いますと、その行動が正解かどうかは気にしません。なにか主体的に前向きにしたいことを決めます。やってみたいと思えることが大事です。
行動してみた後の「解決志向のふりかえり」が大事なんです。
プロブレム コーピング トークやサクセス トークを十分にやっておくと、ソリューション トークが出てきやすくなります。