前向きな行動を促す解決志向のふりかえり

「解決志向のふりかえり」から次の行動(Next Action)が大事

解決志向のふりかえりは、ふりかえりそのものも大事ですが、ふりかえりから得られる次の行動(Next Action)が大事なんですね。

上司がメンバーと関わる時間はわずかです。部下が一人で仕事をしている時間の方が圧倒的に長い

だからメンバーが一人で仕事を進めている時に、どういう姿勢で仕事をするかが成果を大きく左右します。

解決志向のふりかえりの繰り返しが、観察眼を高め、行動を早くする

解決志向のふりかえりは、何が出来たか、どうやってできたか、どんな努力をしたかをふりかえります。これを繰り返すんです。ココが現場の知恵として強調したいところです。

そうすると、だんだん解決志向の観察眼が鍛えられていきます。部下が一人で仕事を進めるときに、出来そうなことや良いことを見つけやすくなるんですね。それと、出来そうなことを行動に移しやすくなります。だって、ふりかえりでは出来たことを優先して聞かれるんですから。

昔、ぼくのグループに中途社員のOさんが入ってきました。前職は問題志向バリバリの職場だったそうです。上司は進捗ミーティングで問題ばかり追求してくる。詰めまくられたそうです。こんなミーティングにそもそも参加したくないですよね。

そんな環境の中で、Oさんにどんなふうに仕事をしていたか聞いてみると、

「失敗しないように低い目標を設定したり、失敗したときは言い訳を一生懸命考えてました」

と言っていました。もっと力を発揮できるはずなのにもったいないですね。

そして、ぼくのチームに合流してから、解決志向のふりかえりをするようになると、Oさんはこのように言っていました。

「ふりかえりでは出来たことしか聞かれないので、(仕事をすすめているときに)躊躇なく即行動に移すことができます」

ふりかえり方が違うだけで、仕事を進める姿勢は大きく変わります。

上司やリーダーのみなさま、解決志向コンセプトを学ぼう!

これは組織の中にいるぼくら現場の上司やリーダーだからこそ出来ることです。このブログを立ち上げたのは、現場のリーダーに解決志向のコンセプトと使い方を直接伝えてやってみて欲しいからです。

メンバーと良好な協力関係を持ち、心理的な負担を軽減しながら、メンバーが主体的に動いて成果を出していくチームへ変わっていく喜びを知って欲しいのです。

事件は会議室じゃない!現場でおこってるんだ!

ちょっと古いので知らない方も多いかもですが、織田裕二さんが主役のドラマ「踊る大捜査線」の有名なセリフです。大好きなドラマでした。

ドラマの話をするつもりは無いのですが、ぼくが言いたいのは、「成果はミーティングで生まれるんじゃない!部下が戦う現場で生まれるんだ!」ということです。

なにもドラマに感化されてこんなことを言っているのではありません。ちゃんと根拠としていることがあるんです。次の項目で見てみましょう。

解決志向のふりかえりが有効な理由:カウンセリング研究から参考データ

ちょっと古いデータですが、(Lambert,1992)によりますとカウセリングのクライエント改善に寄与する1番の要因は治療外の要因だそうです。つまりカウンセリングルームの外で起きた出来事が治療効果の40%を占めているということです。一方で技法はわずか15%しかないんです。

このデータを先ほどの「成果はミーティングで生まれるんじゃない!部下が戦う現場で生まれるんだ!」の根拠としています。

つまり、「ふりかえり」後の部下の姿勢が、前向きになったり、良い変化を見つけやすくなったり、解決へ向かう小さな行動を起こしやすくなるように、「ふりかえり」のやり方を設計することが大事なんです。技法ファーストでなく、メンバーファーストで「ふりかえり」のやり方を考えるんですね。

整理すると、①治療外の要因40% ②クライエントとカウンセラーの関係性30% ③好ましい変化への期待15%で、合計85%です。この3つで大半を占めています。

解決志向アプローチは、ちゃんとこの3要因に焦点を合わせたアプローチになっているんですね。解決志向、解決構築に関わる文献や書物を読んでもらえばわかります。

カウンセラーとクライエントの関係と、上司と部下の関係は同じではないので上記のデータは参考ということになりますが、非常に示唆のあるデータだと思います。