メンバーと協力関係をつくる手がかり

メンバーと協力関係ををつくるためのコミュニケーションについて考えてみましょう。ぼくが組織マネジメントや相談業務の中で経験したことをベースに、「自分の接し方」と「相手の接し方」で協力関係のあり方が違うと感じているので、簡単なマトリクスをつかって説明します。

相手の状態で有効なコミュニケーションは変わる

上司やリーダーは目標達成のためにやるべきことで頭がいっぱいかもしれません。ぼくもそうです。しかも、だいたい納期が遅れていたり、問題があったりと、全て順調!ってことはほとんどありません。

上司やリーダーは本当に大変です。毎日ご苦労様です。

そんな中でメンバーの仕事が進んでいないと、気になってイライラしたり、つい手を出して自分でやってしまうこともあるでしょう。

メンバーに対して進捗してないのはどうしてなのか?何が問題なのか?と問い詰めるときもあるかもしれません。

「そうですね・・問題の原因は競合の分析が甘かったことですかね・・」

とすんなり受け入れれば、上司もメンバーも問題解決に向けての話し合いを進めていくことになります。

これは上司とメンバーがお互いにうまく役割をこなしている状態です。マトリクスでいうと右下の状態です。

メンバーの気持ちに余裕がない時は要注意

ただ、メンバーが自身の役割をこなす前に、気持ちに余裕がなかったり、家庭の事情があるとか、納得できないとか、役割より気持ちの部分が優位になっていることもあります。そうすると、上司とメンバーがぶつかることがあります。マトリクスだと左下になります。

例えば、メンバーがある商品をある納期でお客様に納品しなきゃいけないのに、トラブルがおきて納期が守れない可能性があるとします。この報告を受けた上司は、

「このままじゃお客様に迷惑をかけてしまう。絶対に納期対応させなければならない」と、上司が自分の役割を強く感じたとします。

上司はメンバーに納期を守るように要請したり、対応方法を一緒に考えようとするかもしれません。一方で、メンバーはいろんな気持ちを胸に秘めているかもしれません。

「いまさらなに言ってんだよ。だいぶ前から納期調整が大変だって伝えてたのに。人ごとみたいに言いやがって」

わかり易いようにちょっと刺激的な内容にしました。言いたいことは、上司が役割を全うしようとしても、メンバーは役割で動いてくれないときもある、ということです。

メンバーは気持ちも頭も役割をこなす状態ではなく、いまの気持ちにとらわれています。メンバーの立場から言うと、「わたしがこんな気持ちでいるのにわからないの?あなた、ちょっとおかしいんじゃないの?」って感じです。

もし、上司がメンバーの気持ちに気づかなかったり、気づいていても役割をこなすことを優先すれば、メンバーの心が折れてしまったり、パワハラのように扱われる可能性があります。

役割という制服を脱いでわかりあおう

これもちょっと刺激的な言い方かもしれませんが、一緒に働くメンバーは道具ではなく人です。だから上司はこのメンバーの気持ちをわかる必要があるんですね。

ここで大事なことは、上司は一度役割という制服を脱ということです。大事なのでもう一度言います。役割という制服を脱ぐんです。そして、私服に着替えてわかりあう態度へ変容していくんです。マトリクスだと左下から左上に移行します。

制服を着たあなたは上司であり人です。仕事を一緒にしているメンバーも部下であり人です。上司であるあなたは、メンバーと「部下として接する」と同時に「人として接する」ことを忘れないでください。

制服を脱いで、私服に着替えて、お互いが気持ちや感じていることをわかりあう。そうして、ようやくお互いがどんな役割をどうやって果たしていくのかを考えることができます。マトリクスでは左上から右下へ向かっていきます。

わかりあうことで、得られるものは大きい

この上司とメンバーが「わかりあう」瞬間って、なにか心が満たされることが多いんです。このブログは「メンバーを大切に想うチームリーダー」に向けて書いています。まさにこの繰り返しによって、メンバーを大切にする想いが実現していくことになります。

同時に、上司としてもメンバーとの関わりの中でとても大きなものを得ることができます。自分の成長や自分らしさの獲得、メンバーとのつながりからくる安心感などです。上司もメンバーも本当に得るものが大きいです。

上司だって「気持ちや感じていること」をメンバーに吐露してもいいんです。役割の制服を脱いで私服に着替えましょう。そうやってメンバーとわかりあう過程を通じて、今までの役割とは違う、自分らしい新しい役割をつくっていくことができます。

あなたもメンバーも唯一無二。もっと自分らしさで勝負してもいい

与えられた役割(例えばマネジメント)の中で不自由ややりにくさを感じている方もいるかもしれません。もっと人間臭いあなたらしさを出してもいいんです。今の役割に振り回されず、あなたらしい独自の役割・スタイルをつくっていけば良いのです。

だって、あなたは唯一無二の人であり、かならず独自の感性や考え方、強さや弱さ、得意・不得意、優しさや厳しさがあるはずです。もっと自分らしさで勝負してもいいと思いますよ。その方がチカラが出るはずです。

同様に、メンバーも唯一無二の人です。もっとメンバーらしさを知って仕事に活かせるような手助けをしていきましょう。解決志向のコンセプトは「その人らしさ」を引き出すのにとても役立つと思います。

こうして上司とメンバーがわかりあえば、お互い助け合いながら自分らしく働くことができ、結果としてチーム力が高まっていきます。

ちょっと踏み込んだ話をしてしまった感がありますが、とても大切なことなので長々と書いてしまいました。メンバーと協力関係をつくる手がかりをなんとなく掴むことはできたでしょうか。